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赤茶の被せ(キセ)ガラスに、騎馬民族清朝が好んだ馬、それに木が彫刻された、古い鼻煙壷です。半透明白の胎には無数の小さな気泡、胎の表面に気泡崩れの小さな黒い穴があり、瓶の口辺でガラスの厚さは約4㍉~6㍉と相違し、素朴な作りです。 本品は、被せガラス細工が丁寧で、低い融解温度での成形を示す気孔が多く見られ、かなりの古さはあり、19世紀末ころまでに制作と推測されます。 清朝のガラス工芸は、『中国ガラス』(町田市立博物館)によれば、17世紀末に康熙帝のもとで急速に展開を遂げ、18世紀に乾隆期(1736~95)に最盛期を迎えました。被せガラスの作品は、乾隆期に入り少したってから作られ、それ以前には無いとされます。 被せガラスの器の制法は、同書によれば、不透明な白や黄などの色ガラスを胎(ボディ)に用い、これに透明な色ガラス(赤や薄緑など)を被せ、被せたガラスに浮彫細工で紋様を施し、紋様を地肌から浮き上がらせ作ります。 浮彫は、手のかかる作業で、まず、被せガラスに描いた下絵の輪郭にそって、研磨材をつけた金属製の細い棒を回転させ小さな穴を、いくつも連続的に開けます。次に、ヤスリを用い、連続した穴と穴を繫ぐように削って、紋様の輪郭をつくります。被せ色ガラスを平ヤスリで地肌まで削り取り、紋様を浮彫にし、細かな細工も加えます。紋様は、地肌から垂直的に立ち上がり、立体的になります。 本品も、被せガラスの製法で、海老茶色かあずき色の赤茶で8頭の馬と、草原に生えた木と枝を立体的に描きます。平らな面では、上の枝の中央には跪いた馬、枝の下では首を伸ばし振り返る馬や草を食む馬が描かれ、面の裏には異なる様子の馬が3頭、横側に各1頭、8つの姿の馬が施されています。また、枝は平たな面中央とその左右に伸び、側面では盆栽の松のように伸びています。 被せ製法による赤茶ガラスの厚さは、枝の上の馬で約1㍉、下の馬でやや厚く約1.5㍉で、馬の頭や腹は厚めです。枝では、赤茶がやや薄く胎のガラスが見え、その胎は彫られ低く、丁寧な手作り感を色濃く醸し出しています。また、底のの高台は高さ約2㍉で、しっかりと立置くことができます。 瓶の口辺には小さな古い欠けが複数あり、側面の馬の顔に小さな欠けも見られます。蓋は失われていますが、本体は丁寧な制作です。 横 約58㍉ 縦 約66㍉ 幅 約31㍉ 約85㌘
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赤茶の被せ(キセ)ガラスに、騎馬民族清朝が好んだ馬、それに木が彫刻された、古い鼻煙壷です。半透明白の胎には無数の小さな気泡、胎の表面に気泡崩れの小さな黒い穴があり、瓶の口辺でガラスの厚さは約4㍉~6㍉と相違し、素朴な作りです。
本品は、被せガラス細工が丁寧で、低い融解温度での成形を示す気孔が多く見られ、かなりの古さはあり、19世紀末ころまでに制作と推測されます。
清朝のガラス工芸は、『中国ガラス』(町田市立博物館)によれば、17世紀末に康熙帝のもとで急速に展開を遂げ、18世紀に乾隆期(1736~95)に最盛期を迎えました。被せガラスの作品は、乾隆期に入り少したってから作られ、それ以前には無いとされます。
被せガラスの器の制法は、同書によれば、不透明な白や黄などの色ガラスを胎(ボディ)に用い、これに透明な色ガラス(赤や薄緑など)を被せ、被せたガラスに浮彫細工で紋様を施し、紋様を地肌から浮き上がらせ作ります。
浮彫は、手のかかる作業で、まず、被せガラスに描いた下絵の輪郭にそって、研磨材をつけた金属製の細い棒を回転させ小さな穴を、いくつも連続的に開けます。次に、ヤスリを用い、連続した穴と穴を繫ぐように削って、紋様の輪郭をつくります。被せ色ガラスを平ヤスリで地肌まで削り取り、紋様を浮彫にし、細かな細工も加えます。紋様は、地肌から垂直的に立ち上がり、立体的になります。
本品も、被せガラスの製法で、海老茶色かあずき色の赤茶で8頭の馬と、草原に生えた木と枝を立体的に描きます。平らな面では、上の枝の中央には跪いた馬、枝の下では首を伸ばし振り返る馬や草を食む馬が描かれ、面の裏には異なる様子の馬が3頭、横側に各1頭、8つの姿の馬が施されています。また、枝は平たな面中央とその左右に伸び、側面では盆栽の松のように伸びています。
被せ製法による赤茶ガラスの厚さは、枝の上の馬で約1㍉、下の馬でやや厚く約1.5㍉で、馬の頭や腹は厚めです。枝では、赤茶がやや薄く胎のガラスが見え、その胎は彫られ低く、丁寧な手作り感を色濃く醸し出しています。また、底のの高台は高さ約2㍉で、しっかりと立置くことができます。
瓶の口辺には小さな古い欠けが複数あり、側面の馬の顔に小さな欠けも見られます。蓋は失われていますが、本体は丁寧な制作です。
横 約58㍉ 縦 約66㍉ 幅 約31㍉ 約85㌘